「Land Surfing」2007年7月号特別企画「茶色い巨星、墜つ」
注)本記事は丘サーファー の続編です。 未読の方はそちらから先にどうぞ。
*****
-本日は、日本、いや世界を代表する丘サーファーの第一人者でありました、 丘乗夫(おかのりお)さん(仮名)の追悼企画としまして、 2007年丘サーフィン日本選手権準優勝の岡田高乗(おかだたかのり)さんにお話を伺いたいと思います。岡田さん、僕はあのニュースを岡田さんからの電話で知ったのですが、あのときの衝撃を今でも忘れられません。
岡田(以下岡):あのときは、ブエノスアイレスの丘からの衛星電話でしたので、まだ早朝だったと思います。僕も動転していまして、失礼しました。
-いいえ。岡田さんは、生前の丘さんとはプライベートでも親交が深かったそうですが、まず丘さんとの関係について簡単にご紹介頂ければと思います。
岡:はい。僕が初めてノリ、丘君のことはこう呼んでいたのですが、 ノリと会ったのは、もうかれこれ10年以上前のことでした。 サーファーらしく真っ黒に日焼けしていて、それでいてやけに歯が白くて。あと、眼。とにかくギラギラしてましたね。 当時彼は中学生だったと思うのですが、僕の周りにはあんな中学生いませんでしたから、さぞかし学校では周りから浮いていただろうと思います。
-その頃から岡田さんは丘サーファーだったのですか?
岡:いえ。ちなみに僕はその頃は水サーファーだったんで、 てっきりノリも普通の水サーファーだと思ったんです。
-水サーファー。
岡:はい。僕らにとってサーフィンと言えば丘なんで、区別する意味でそう言ってます。
-岡田さんは、初めから丘サーファーではなかった。
岡:はい。最初の3年は水でしたね。というか、それが普通でしょう?(笑) でも、その後ノリは水にではなく丘から入ったと聞き、 これは初めからモノが違うなと思いましたね。
-当時から岡田さんは、丘さんを知っていたのですか?
岡:いえ、全く。共通の知人に紹介してもらったんです。 彼も水サーファーだったのですが、 「すごいサーファーがいるから、とにかく会ってみろ」と。 その頃は丘サーファーなんて言葉知らなかったものですから、 てっきり普通の水サーファーだと思ったわけです。
-ところが何かが違う。
岡:ええ。当然話題はサーフィンなんですけど、どうも話が噛み合わない。 例えば車の話とかしても、不思議な顔をしてる。中学生ですからね。 お父さんに送り迎えしてもらっていたようです。 むしろ困るのは砂ぼこりだと。常識が違うんです。 あとは、ノリ、汗くさいんですよ。
-丘さん、お風呂が嫌いなタイプだったのですか?
岡:それもあるんですが、
-あるんですか(笑)
岡:あるんですが(笑)、丘だとやはりシャワーってないんですよ。 大きい丘を攻めようとすると、余計にそんなものない。 だから、さんざん丘を攻めて砂まみれになって汗かくと、 汚れるし、しかも乾くと臭ってくる。 もう車の中なんて、運動部の部室みたいなんです(笑)
-あまり若い女性には人気が出なさそうですね。
岡:その通りですね。 丘にいる女性と言えば、年配のご夫婦の方が多いですね。 よく「大変そうだけどがんばってね」と声をかけてもらったりします。 やはりそういったファンの方の声が励みになりますよね。
-別にファンではないのでは・・・
第2回へ続く